高濃度炭酸泉温浴 Q&A


Q1. 炭酸泉って何ですか?

A1. CO2つまり二酸化炭素ガス=炭酸ガスが溶け込んだ水です。一部は電離してイオン化していますが、大部分はそのまま溶け込んでいます。pHは肌に優しい4.5〜5の弱酸性です。砂糖と果汁抜きのサイダーを思い浮かべて結構です。疲れたときコーラやビールなどの炭酸飲料を飲むと体の内でホッとしますが、炭酸泉浴は体の外からリラックスをもたらします。医学的な治療効果がある温泉水を療養泉と言い、その泉質は主成分によって大きく9つに分類されています。単純泉、炭酸水素塩泉、塩化物泉、硫酸塩泉、鉄泉、硫黄泉、酸性泉、放射能泉それに単純炭酸泉です。


Q2. 日本には炭酸泉の温泉はありますか?

A2. 残念ながら、世界有数の火山国で温泉大国の日本ですが、地下の圧力から解放され地上に湧出したときの源泉が60℃以上の場合、炭酸ガスは急激に抜け出しますから、例え湧き出し口の源泉の温泉分析表にあったとしても、湯船に来る頃には抜けてしまっています。高濃度の炭酸泉は泉温が25℃以下の炭酸鉱泉として散在し飲用されていますが、浴用に適した体温程度かそれ以上の炭酸泉は大分県の長湯温泉のラムネ湯、七里田温泉、島根県の小屋原温泉、福島県の大塩温泉、北海道の五味温泉などわずかに知られるだけで、それ以外に実質的な高濃度炭酸泉はほとんどありません。しかも、溶存しているガスが撹拌や熱で容易に抜けてしまう炭酸泉は輸送や再加温には全く向かないため、多くの人にとって今まで手が届きませんでした。


Q3. 高濃度人工炭酸泉の高濃度とはどの程度で、どのように作るのでしょうか?

A3. 高濃度とは1,000ppm以上、つまり水1s(ℓ)あたり1g以上のCO2が溶け込んでおり、水温40℃ではほぼ飽和濃度になります。しかし、三菱レイヨン・エンジニアリングの開発した人工炭酸泉製造装置は、温水に炭酸ガスを効率よく溶け込ませ、1,100〜1,300ppmの過飽和状態まで作れます。入浴するとヨーロッパでは『真珠の泡』と呼ばれる細かな炭酸ガスの泡が皮膚全体にびっしり付いて、それが心地良いのです。炭酸入浴剤による薬剤法では、1錠で50〜100ppm、仮に1箱20錠全部を入れたとしても溶け込む効率が悪いので800ppm程度しか到達できません。


Q4. 炭酸泉はどのように体に良いのでしょうか?

A4. 高濃度(最低でも800ppm程度は必要)の炭酸泉浴をしますと、水に溶け込んだ高濃度の炭酸ガスの一部が皮膚から吸収され、最終的には呼気から排出されます。この時血管内皮細胞が作るNO:一酸化窒素(狭心症のニトログリセリンと同じ作用メカニズム)の作用に加え、適切な温度では副交感神経の刺激で毛細血管の血流量を決めるバルブの役割をしている細動脈の血管平滑筋(コイル状に締め上げる筋肉で括約筋=スフィンクターともよばれています)が緩んで皮膚の血管を一気に拡張させます。そのため、まず皮膚の血流量が劇的に増えることから始まって、酸素と二酸化炭素の交換、栄養素と乳酸などの老廃物の運搬、免疫細胞の遊走が効果的かつ全身に波及します。42℃以上の高温浴の温熱作用でも起こりますが、38〜40℃のぬるめの温度域では真水の場合の数倍にも及びます。炭酸泉の多いヨーロッパ、特にドイツでは血圧を下げ心臓に負担をかけないため、心臓療養に使い「心臓の湯」と言われています。しかし、泉温が最高でも34〜35℃と低めで、体温以上での炭酸泉の温熱効果は検討されてきませんでした。適切な温度の38〜40℃での炭酸泉温浴は、疲労回復、筋肉痛・関節痛・腰痛などの疼痛緩和、高血圧症、動脈硬化症、リウマチに有効とされています。その他、リラックスをもたらす副交感神経優位の体調に導き入れることで、リンパ球の数・割合および活性が増します。その結果自然治癒力を引き出し、急性疾患以外の大概の病気に有効と考えて大きな間違いはないと思います。全身浴の場合、静水圧が心臓にかかるため心臓に疾患のある方は半身浴が勧められています。また、簡便な足浴も選択できます。


Q5. 炭酸泉温浴の温度と時間は、真水の場合と異なりますか?

A5. 炭酸泉温浴の適切な温度は、炭酸の効果で温感が2℃上がるため、体への負担が少ない38〜40℃のぬるめで、少し長めの15〜30分間じっくり浸り、1日に1〜2回が適切とされています。注意すべき事は、入浴直前に250㎖位のアルコールを含まない水分を摂るのは勿論、長めに入浴する際は途中も水分補給することで脱水による血液の濃縮に伴う血栓の形成を予防します。特に高齢者は喉の渇きの感覚がやや鈍っているので、習慣として入浴直前・途中に水分補給することを是非心がけたいものです。


Q6. 炭酸泉に毒性や副作用はありませんか?

A6. 呼気にも5%程度含まれ、高濃度で無い限り二酸化炭素自体には高い毒性はありません。ただし、締め切った浴室では、空気より重いため水面近いところのガス濃度が高くなることがあります。最低中毒濃度は2%と言われています。それで換気には留意する必要があります。また炭酸泉温浴は副交感神経を刺激しますので、消化管の運動が活発となり、下痢ぎみの人ではひどくなる傾向があるとされています。皮膚から出血している場合も禁忌です。その他、”嬉しい”副作用として、皮膚血流の改善により発毛や白髪が黒化するケースがあることも知られています。


Q7. ガスが抜けやすいと言うことは、入る毎に炭酸泉を入れ替える必要があるのでしょうか?

A7. 確かに、強くかき混ぜると二酸化炭素が容易に気化して抜けます。そのためジェットバスとは併用できません。しかし、抜け易いとは言え1時間程度放置しても90%以上の濃度を保ちます。また、湯温が下がった場合の追い炊きは、加熱部分で炭酸ガスが一気に気化するうえ、腐食の点でもガス湯沸かし器に好ましくないので、禁止です。ですから、冷え易い冬場には一部蓋をしたり、湯面を包装用のバブルラップなどで覆うなどの工夫が必要でしょう。湯度と濃度が下がった場合、41〜43℃のやや熱めの炭酸泉を新たに注ぎ足すことで対処します。


Q8. ジェットバス、マイクロバブル、酸素バブル、ミストサウナなど各社それぞれに効能を謳っておりますが、炭酸泉とはどう違うのでしょうか?

A8. 上記のそれぞれにある程度の効能があるのは事実でしょう。しかし、高濃度炭酸温浴の効能はこれらに比べると遙かに優れています。前述のように、1,000ppm以上の高濃度炭酸泉は医学的に治療効果が期待できる9種類の療養泉の一つに分類されています。しかもヨーロッパでは150年以上も療養に使われてきているように医学的な効果は検証済みです。また、一般的に高濃度の酸素は有害です。


Q9. 二酸化炭素は地球温暖化ガスでは?

A9. 確かに、そうです。しかしながら、現在市内に流通している炭酸ガスやドライアイスは、石油生成過程や、製鉄所、発電所などから出る副産・排出ガスのごく一部を回収し、精製・液化してボンベに詰めて有効再利用されているものです。200リットルの家庭用浴槽で1回に使う炭酸ガスの量は250g程度です。ちなみに大人ひとりが安静時に出す炭酸ガスの排出量は1分間あたり250㎖で0.5gですから、8時間分です。灯油なら93㎖が燃えてできる炭酸ガス量に相当します。


Q10. ラニングコストはどの位かかりますか?

A10. 炭酸ガスはあらゆる市販ガスの中で最も安価と言われていますが、お客様に用意していただくことになるガスボンベのサイズ(7kgと30s)とガス販売店の地域差に依ります。7kgボンベはボンベを初めに買い取る場合が多いうえ単位あたりも割高ですが、30sボンベならレンタルの場合が多く、200リットルの家庭用浴槽で60〜70円程度です(大阪地区)。この場合、ボンベの交換の目安はほぼ3月毎です。他に本体ブラシ・モーターの交換が必要ですが、その寿命の目安は2,000時間と言われていますので、仮に毎日30分間使ったとしても10年に1回程度です。また、炭酸ガスのレギュレーター=圧力調整器は機能と安全保証のため3年毎の交換が必要です。


Q11. 購入を考えていますが、初期費用がずいぶんかかりそうですね。

A11. そうですね。確かに昨年までは人工炭酸泉製造装置の購入・設置の初期コストは決して安いものではありませんでした。そこで一般家庭への普及を本格的に促進するために、使い勝手に優れ、浴室内に組込めるように小型化するなどの装置の改良を進め、価格もよりお求め易くした人工炭酸泉製造装置『シードル』を2006年1月から、皆様にご提供できることなりました。


Q12. 自宅での炭酸泉温浴は温泉より優れていますか?

A12. ある意味でイエス、ある意味でノーです。自宅の炭酸泉温浴は毎日いつでも手軽に楽しむことが出来ますが、広く開放感のある浴場、非日常性の気分転換、豊かな環境や食事、社交などの独特な気候風土は温泉地でなければ決して味わうことが出来ません。両方の長所をうまく生かして家族全員の健康を維持・亢進したいものです。
 これから本格的に迎える高齢化社会で、この炭酸泉温浴が普及し末永く使われ、その結果として国民の健康増進に繋がれば、 医療費・介護費用の節減、高齢者の社会参加など社会的貢献は計り知れないものになる、と私は大いに期待しているのです。


(2006年1月)